気候が好くなると、雀が沢山集まって盛んに躍ったりさえずったりする。
二羽の雀が空中で、もつれる。そして、もつれたのが花の上や地面の上に落ちて来て、なおも、もつれあう。
これは雀の恋愛であろうか、それとも崎一嘩であろうか。雀は雌雄同型同色となっているから、同性の鑑別は見ただけでは判らない。もし、あのもつれが恋愛なら、落ちて来て下になった方が雌という訳であるが、陪一障であれば、どっちが雄か雌か見当がつかない。雀の研究でも名高かった柳田国男さんに、きいてみたがさあと困ったような渋い顔をしていた。
この点ヨーロッパの雀は鑑別がいとも簡明。雌雄異色である。雄は日本の雀に似ている、ただ頭の上が丸く灰色になってるところが違っている。フランス語で雀のことをモアノーというが、それは「小さな僧侶」という意味。カトリックの修道僧は茶色の服を着て、頭を剃っている。頭を剃るといっても、真んなかだけで、周りの毛を残す。その姿が雀に似ている。
雌は、雲雀のように、斑が全体にある。子供の顔にある「そばかす」を雀斑と書くが、西洋の雀の雌は、全身そばかすだらけである。
観察眼のない人間は、何年ヨーロッパにいても、こんな明かな雀の雌雄別あることに気がつかない。僕が観察したところによると、二羽の雀のもつれ合いというのは、雄と雌との睦み合いであるのもあるし、雄同士の喧嘩、鳥類学者のいう「テリトリー」の争い、つまり縄張り争いらしいのもある。
雀