豪猪

豪猪、えらい猪と書いてヤマアラシという。日本産の動物ではないが、どこの動物園にもいるから、おなじみだ。これはウサギに縁の近い、おとなしい動物。鋭い牙や爪という武器があるわけでもない。
その代わりに、背中いっぱいに、長い刺毛が生えている。このとげにささると、痛くていかなる猛獣も参ってしまう。だから狼や犬も、ヤマアラシがうしろ向きになって、背中の刺毛を立てると逃げてしまう。
このヤマアラシは、人間並みに腹合わせに恋愛を致すということが西洋では三千年も昔から伝えられ、アリストテレスも、そのことを書いている。
ローマ法王の許し給うスタイルで営むのは信心深い人間、とヤマアラシだけであるとされていた。背面攻撃のフリースタイルは信心深くない人間で、もろもろの畜生のすることとされていた。
ヤマアラシみたいに、背中一面恐ろしい刺毛があっては、その上に乗っかることは不可能だろうと考えられる。
それに、ヤマアラシは発情すると双方立ち上がる。立ち上がって、見合って見合ってをする。雄は立ち上ったまま、オブジェから液体を発射して、雌にそれをかけるのである。両者接触するのを待ちかねた、門前落涙的の勇気りんりんたるものと自然観察された。
近代になって、動物園というものが、どこにも出来たので、ヤマアラシの神秘性も、すっかり値打がなくなってしまった。ヤマアラシとて、犬猫同様のスタイルでいたすことが明らかにされた。鯨を魚でなくて獣類だと見破ったアリストテレスもヤマアラシには一杯くわされた。しかも、立ち上っての放出は、射精ではなく、なんのことはない放尿であることが暴露された。学生が試験前になると尿意を催すのと同じであるわけ。
しかし、雄が事前に必ず立ち上って雌に小便を、ひっかけるところが豪猪の豪猪たるところ。ヤマアラシが恋愛文学を書くものとすれば「僕は彼女に小便をひっかけたい」とか「小便をひっかけたくなるような美人」とか「催尿的」とかいうわけである。
平安時代の文学で「物臭太郎」のなかに、「抱きついて、口吸わん……」というのがあって昔の日本人は、これを極めて露骨なわいせつな表現だと考えたらしいが、今では、すっかり西洋式になってベサメ・ムーチョ、ムーチヨ(つんとキッスして頂戴)で抱いてキッスしたいなどというのは、平ちゃら、こうした文句のないスペイン語の歌はない。
紀元三十世紀くらいになれば人類の文学もヤマアラシ的に進歩するかも知れない。

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